看護師の収入は、働く地域や職場、年齢によって大きく異なります。「全国平均はいくら?」「自分の年齢や地域ではどのくらい稼げる?」と気になる方も多いでしょう。
以下では、2025年3月に発表された「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況(厚生労働省)」の最新データ(以下より、「2025年版」)をもとに、看護師の平均年収・月収・賞与・手取り額を徹底解説します。(年収の計算式は、「きまって支給する現金給与額 × 12ヶ月 + 年間賞与その他特別給与額」で行います。)
このデータは、全国90万人以上の看護師を対象にした統計から、男女別・都道府県別・年代別・前年からの推移まで網羅しており、地域差が生まれる理由や今後の給与動向の背景も解説し、転職や働き方の見直しに役立つ情報をお届けします。
目次
2025年版・看護師の平均年収はどれくらい?
2025年版の賃金構造基本統計調査によると、看護師の平均年収は約519万7,000円です。
以下では、全国の看護師を対象としたデータをもとに、年収・月収・賞与の実態をわかりやすく紹介します。
全体の平均年収(男女合計)
2025年版の最新統計によると、看護師全体の平均年収は約519万7,000円です。これは、月収や賞与を含めた年収の平均であり、全国の看護師約90万人を対象とした大規模な調査結果です。
- 平均年収:5,197,000円
- 平均年齢:41.2歳
- 平均勤続年数:9.4年
- 労働者数:904,810人
なお、男女別にみると、男性看護師の方が年収はやや高い傾向にあります。
| 性別 | 平均年収 | 月収 | 賞与 | 平均年齢 | 勤続年数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 全体 | ¥5,197,000 | ¥363,500 | ¥835,000 | 41.2歳 | 9.4年 |
| 女性 | ¥5,178,900 | ¥362,300 | ¥831,300 | 41.4歳 | 9.4年 |
| 男性 | ¥5,348,300 | ¥373,500 | ¥866,300 | 39.6歳 | 9.9年 |
平均月収・賞与・手取り額の目安
- 平均月収(給与):363,500円
- 平均賞与(ボーナス):835,000円(年2回想定)
年収ベースの内訳としては、
- 月収×12ヶ月 → 約436万円
- 賞与 → 約83万円
賞与は年収の約16%を占めています。
手取り額の目安(月収ベース)
社会保険料・所得税などを差し引いた月々の手取り額は、概算で以下の通りです(独身・扶養なし・東京都在住を想定):
| 月収(額面) | 約36.3万円 |
|---|---|
| 手取り額(目安) | 約28.5万円〜30万円 |
※賞与は約66万円〜68万円の手取りになるケースが多いです。
全体の推移(2024年度→2023年度)
| 項目 | 平均年収 | 月給 | 賞与 | 平均年齢 | 勤続年数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年発表(2024年度) | ¥5,197,000 | ¥363,500 | ¥835,000 | 41.2歳 | 9.4年 |
| 2024年発表(2023年度) | ¥5,081,700 | ¥352,100 | ¥856,500 | 41.9歳 | 9.8年 |
| 増減(前年比) | +¥115,300(+2.3%) | +¥11,400 | -¥21,500 | -0.7歳 | -0.4年 |
2025年に発表された看護師の最新年収データ(2024年度分)は、前年と比較してやや上昇傾向にあります。男女別・全体平均ともに給与の改善が見られ、特に月給の増加が目立ちます。
男女別の比較
| 性別 | 年収(2024) | 年収(2023) | 増減額 | 月給差 | 賞与差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 男性 | ¥5,348,300 | ¥5,257,000 | +¥91,300 | +¥8,400 | -¥9,500 |
| 女性 | ¥5,178,900 | ¥5,061,400 | +¥117,500 | +¥11,700 | -¥22,900 |
女性看護師の年収増加幅が大きく、月給の伸びも顕著です。一方、賞与は男女ともに減少傾向にあります。
都道府県別|看護師の平均年収ランキング【2025年】
全国で働く看護師の年収は、地域によって大きな差があります。同じ看護師免許を持ちながらも、働くエリアによって50万円以上の差が生じることもあるのが実情です。以下では、2025年版の賃金構造基本統計調査データをもとに、看護師の平均年収が高い都道府県・低い都道府県のランキングTOP10を紹介し、その地域差の理由も詳しく解説します。
看護師の平均年収が高い地域TOP10
| 順位 | 都道府県 | 平均年収 | 月給 | 賞与 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 東京都 | ¥5,689,100 | ¥405,600 | ¥821,900 |
| 2位 | 京都府 | ¥5,640,200 | ¥389,700 | ¥963,800 |
| 3位 | 大阪府 | ¥5,598,300 | ¥377,500 | ¥1,068,300 |
| 4位 | 奈良県 | ¥5,427,300 | ¥379,300 | ¥875,700 |
| 5位 | 愛知県 | ¥5,421,000 | ¥372,700 | ¥948,600 |
| 6位 | 神奈川県 | ¥5,462,600 | ¥388,900 | ¥795,800 |
| 7位 | 群馬県 | ¥5,387,800 | ¥376,700 | ¥867,400 |
| 8位 | 宮城県 | ¥5,383,700 | ¥372,400 | ¥914,900 |
| 9位 | 栃木県 | ¥5,272,800 | ¥358,900 | ¥966,000 |
| 10位 | 山梨県 | ¥5,177,300 | ¥356,800 | ¥895,700 |
2025年版の賃金構造基本統計調査データでは、看護師の平均年収が最も高いのは東京都の約568万円でした。続く京都府・大阪府・奈良県・愛知県と、大都市圏またはその周辺エリアが上位を占めています。
これらの地域が高年収となる主な理由は以下の通りです。
- 地域手当・住宅手当の充実
物価や家賃水準が高い都市部では、給与に地域手当や住宅手当が上乗せされる傾向があります。 - 大規模医療機関の集中
大学病院や基幹病院が多く、基本給や賞与の水準が全国平均を上回る傾向があります。 - 夜勤手当・交替勤務手当の高さ
24時間稼働する急性期病院が多く、夜勤回数や勤務形態によって手当が高額になるケースが多いです。 - 人材確保競争の激化
都市部では病院間の人材争奪が激しく、給与改善や待遇アップによって看護師を確保する動きが活発です。
また、宮城県や群馬県など、一部の地方都市も上位にランクインしています。これは、地域の医療ニーズの高さや賞与水準の高さが影響していると考えられます。ただし、上位地域であっても生活コストが高く、可処分所得(手取り後の自由に使えるお金)は必ずしも高くない場合があります。
看護師の平均年収が低い地域TOP10
| 順位 | 都道府県 | 平均年収 | 月給 | 賞与 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 鹿児島県 | ¥4,269,100 | ¥302,300 | ¥641,500 |
| 2位 | 宮崎県 | ¥4,337,100 | ¥303,600 | ¥693,900 |
| 3位 | 沖縄県 | ¥4,434,400 | ¥316,900 | ¥631,600 |
| 4位 | 大分県 | ¥4,467,100 | ¥310,600 | ¥739,900 |
| 5位 | 熊本県 | ¥4,678,400 | ¥317,500 | ¥868,400 |
| 6位 | 佐賀県 | ¥4,647,900 | ¥323,900 | ¥761,100 |
| 7位 | 愛媛県 | ¥4,608,000 | ¥321,400 | ¥751,200 |
| 8位 | 福岡県 | ¥4,719,700 | ¥336,600 | ¥680,500 |
| 9位 | 福島県 | ¥4,713,100 | ¥324,600 | ¥817,900 |
| 10位 | 青森県 | ¥4,713,400 | ¥325,800 | ¥803,800 |
2025年版の賃金構造基本統計調査データで平均年収が最も低かったのは鹿児島県の約426万円で、全国平均より約93万円低い水準でした。続く宮崎県・沖縄県・大分県など、九州・沖縄エリアが下位に集中しています。四国や東北の一部も低水準で、愛媛県・青森県・福島県がワースト10に含まれています。
これらの地域で年収が低くなる背景には、以下の要因があります。
- 地域の経済規模と医療機関の規模
中小規模の病院や診療所が多く、基本給や賞与が都市部より低い傾向があります。 - 地域手当がほぼない
物価水準が低い地域では、給与に地域手当が加算されないケースが多いです。 - 夜勤回数・勤務形態の違い
慢性期病棟や介護療養型施設が多く、夜勤手当が少ない場合があります。 - 診療報酬や財政的余力の制約
地方自治体や医療法人の財源に限りがあり、給与改善が都市部ほど進みにくい状況があります。
ただし、年収が低くても生活コスト(家賃・食費)が都市部より大幅に安いため、実際の生活のしやすさや可処分所得は必ずしも低くないケースもあります。
その他の都道府県の看護師平均年収(11位〜47位)
| 順位 | 都道府県 | 平均年収 | 平均月給 | 平均賞与 |
|---|---|---|---|---|
| 11 | 静岡県 | ¥5,217,000 | ¥360,800 | ¥887,400 |
| 12 | 滋賀県 | ¥5,195,100 | ¥367,800 | ¥781,500 |
| 13 | 長野県 | ¥5,147,400 | ¥358,100 | ¥850,200 |
| 14 | 秋田県 | ¥5,138,200 | ¥346,900 | ¥975,400 |
| 15 | 兵庫県 | ¥5,133,400 | ¥357,400 | ¥844,600 |
| 16 | 岩手県 | ¥5,130,700 | ¥339,400 | ¥1,057,900 |
| 17 | 北海道 | ¥5,123,400 | ¥363,900 | ¥756,600 |
| 18 | 埼玉県 | ¥5,113,600 | ¥370,800 | ¥664,000 |
| 19 | 富山県 | ¥5,109,000 | ¥354,800 | ¥851,400 |
| 20 | 千葉県 | ¥5,100,600 | ¥354,500 | ¥846,600 |
| 21 | 山口県 | ¥5,099,200 | ¥342,900 | ¥984,400 |
| 22 | 広島県 | ¥5,094,600 | ¥357,700 | ¥802,200 |
| 23 | 新潟県 | ¥5,082,300 | ¥353,600 | ¥839,100 |
| 24 | 山形県 | ¥5,076,200 | ¥346,200 | ¥921,800 |
| 25 | 和歌山県 | ¥5,062,200 | ¥351,500 | ¥844,200 |
| 26 | 三重県 | ¥5,056,000 | ¥352,900 | ¥821,200 |
| 27 | 茨城県 | ¥5,032,500 | ¥355,900 | ¥761,700 |
| 28 | 福井県 | ¥5,001,900 | ¥342,000 | ¥897,900 |
| 29 | 長崎県 | ¥5,001,200 | ¥341,700 | ¥900,800 |
| 30 | 香川県 | ¥4,973,400 | ¥351,700 | ¥753,000 |
| 31 | 石川県 | ¥4,913,500 | ¥344,000 | ¥785,500 |
| 32 | 高知県 | ¥4,899,500 | ¥334,300 | ¥887,900 |
| 33 | 岡山県 | ¥4,890,900 | ¥343,600 | ¥767,700 |
| 34 | 徳島県 | ¥4,828,700 | ¥331,900 | ¥845,900 |
| 35 | 島根県 | ¥4,827,100 | ¥334,300 | ¥815,500 |
| 36 | 鳥取県 | ¥4,808,700 | ¥340,500 | ¥722,700 |
| 37 | 岐阜県 | ¥4,796,400 | ¥338,000 | ¥740,400 |
ランキング11位〜47位に位置する都道府県では、全国平均に近い水準で安定している地域が多く見られます。特に静岡県・滋賀県・長野県などは、都市部ほど高額ではないものの、賞与が比較的高めに設定されている傾向があります。
この順位帯にある地域は、生活コストと給与のバランスが良い場合が多く、看護師の転職先として「安定した収入」と「暮らしやすさ」を両立しやすいエリアともいえます。
20代・30代・40代・50代の看護師の平均年収
| 年代 | 平均年収 | 平均月給 | 平均賞与 |
|---|---|---|---|
| 20歳~24歳 | ¥4,277,200 | ¥315,200 | ¥494,800 |
| 25歳~29歳 | ¥4,866,500 | ¥348,000 | ¥690,500 |
| 30歳~34歳 | ¥5,014,000 | ¥354,300 | ¥762,400 |
| 35歳~39歳 | ¥5,112,300 | ¥355,200 | ¥849,900 |
| 40歳~44歳 | ¥5,390,500 | ¥369,300 | ¥958,900 |
| 45歳~49歳 | ¥5,723,000 | ¥392,400 | ¥1,014,200 |
| 50歳~54歳 | ¥5,824,400 | ¥398,000 | ¥1,048,400 |
| 55歳~59歳 | ¥5,717,300 | ¥390,100 | ¥1,036,100 |
| 60歳~64歳 | ¥4,812,900 | ¥343,700 | ¥688,500 |
| 65歳~69歳 | ¥4,487,400 | ¥328,700 | ¥543,000 |
| 70歳以上 | ¥5,155,400 | ¥387,100 | ¥510,200 |
年代別データからは、看護師の年収が年齢とともに着実に上昇していく様子が明確に見て取れます。
- 20代前半(20〜24歳):平均年収は約427万円。夜勤手当や残業代を含めても、初任給水準に近い額で推移します。
- 20代後半(25〜29歳):約487万円まで上昇。経験を積み、夜勤回数や担当業務の幅が広がることで収入が伸びます。
- 30代前半〜後半:500万円を超え、役職や専門分野での加算も加わります。特に35〜39歳は賞与の伸びが大きく、年収849万円台の賞与支給例も見られます。
- 40代〜50代前半:年収はピークの600万円前後に達し、主任・看護師長など管理職手当が反映されます。
- 50代後半〜60代:やや下降傾向に入りますが、それでも全国平均を上回る水準を維持するケースが多いです。
この推移の背景には、勤続年数・夜勤経験・役職加算・専門資格などが影響していると考えられ、特に30代後半〜50代前半は、キャリアアップや昇給の機会が集中する時期であり、転職や資格取得によってさらなる収入アップが可能な年代といえます。
一方、60歳以降は再雇用制度やパート勤務への切り替えが増えるため、年収が下がる傾向があります。
まとめ
2025年の看護師平均年収は約519万7,000円で、前年よりも約11万円上昇しました。特に月給の増加が顕著で、人手不足対策や物価高騰への対応として給与改善が進んでいます。
- 年収が高い地域:東京都・京都府・大阪府など大都市圏が上位。夜勤手当や地域手当が充実し、医療機関の規模も大きい。
- 年収が低い地域:九州・四国・沖縄・東北の一部に集中。物価水準や医療機関規模の影響が大きい。
- 年代別の特徴:30代後半〜50代前半で年収500〜600万円台に到達。役職や経験年数による上昇が顕著。
同じ看護師免許を持っていても、勤務先や地域、勤務形態で年収に50万円以上の差が生じます。求人を探す際は「給与額」だけでなく、夜勤の有無・手当制度・地域の生活コスト・賞与水準まで含めて総合的に判断することが重要です。
これらの情報を活用し、自分のキャリアと生活に合った働き方を選びましょう。